土橋01

『日本手帖の会』春の恒例トークイベント
「文具コンサルタント・土橋 正さんを囲んでの
手帖オフ会」も5年目を迎え、
今回はいつもの横浜から新橋に場所を移し、
6年前の創設メンバー4名のうち3名を含めたレギュラー会員に加えて、
今年スタートした「ゆるオフ」に参加された方や、今回、初めましての方など
総勢30名のご参加をいただきました。

土橋02

土橋03

【午前の部】は、土橋さんのお話をうかがいます。
テーマは「手帖術」、「おススメの文房具やひと味違う使い方のコツ」、
「ミニマリズムのエッセンス」の三本立て。

最初に、昨年の台湾でのイベントに参加されたいきさつと台湾の文房具事情などを
お話いただいたあと、

いよいよ「土橋式手帖術」から

土橋さんは、予定を大きく三つに分けて、

「アポイント」:自分以外の誰かとの約束
「ToDo or タスク」:自分との約束
「プロジェクト」:長期のスパンになるもの

「アポイント」は、“マンスリー手帖”、
「ToDo or タスク」は、“ToDo全集”、
「プロジェクト」は、“工程表”をそれぞれ使い分けています。

土橋15

「マンスリー手帖」へのこだわりは、
“一日のスペースが広く”、“日曜始まりのブロックタイプ”であることの2点。
8候補を比較検討(なんと全て購入!)した結果、「高橋書店/ラフィーネ2(A6)」を
選択して現在6年目。
“アポイント”専用で、一日のアポは多くても3件なので、このスペースに書き込めます。

土橋06

「ToDo、タスク管理」は、“ToDo全集”用として小型のメモパッド(ATOMA/ベルギー製 A7)を使用。
ToDoの性質上、処理して減らしても常に増え続けるため、
これを管理するためには、“外せること”と“追加できること”が必要で、
メモ用紙の付け替え機能と携帯性からこれを選択。

この一冊を「一般」、「連載」、「事業」に分けて、それぞれに対応した事柄を
すべて書き出して、頭の中のキャパシティを常に100%にしておきたいから。
仕事だけではなく生活全般にわたり、例えば“牛乳を買う”といった、
日常的なことまでも含めて、あらゆる事柄をここに書き出しているそうです。

つまり、“書いて忘れる”ということですネ。

土橋16

「工程表」は、マンスリー手帖の後半メモページに、エクセルで管理しているデータの
出力を貼り込んで使用。

土橋18

ここで、参加者の方から「ToDoタスク」をデジタルではなく、
あえてアナログで管理している理由は?という質問には、

約束や予定はほとんどデジタルで入ってくるのでデジタル管理が合理的と分かっては
いるが、タスク量の“多い少ない”を“紙の厚み”という手触りで感じていたい。
デジタルではこれが出来ないから、あえてアナログにこだわり続けているそうです。

なぜひと月をマーカーで囲っているのですか?という質問には、

土橋09

時間や予定は目に見えないので、面積で意識する必要があり、夏休みの宿題みたいに、
いつも作業が〆切ギリギリになってしまうのは、月初と月末の比重が意識の中で
異なるから。

これを解決する方法として、
土橋さんは“面積で表示する”ことで解消しています。
新しい手帖を手に入れたら、まずマンスリーのひと月を一年分マーカーで囲って
しまう。
これでひと月の一日一日が、均等に意識できるようになり、
これを見ながらひと月の作業の割り振りを考えるようにすれば、
分散させる意識が働いて、月末に大変な目に遭うことを防ぐことができる。

マーカーの色は目立たせる必要はなく、じわじわと脳に染みこんでいくような
イメージなので、印刷された罫線と同色のマーカーがベストとのこと。

 

ここで、土橋流小技ネタをいくつか。

これは製図用“字消し板”で、シャープペンシルで細かい字を消すときに、
ピンポイントで一文字だけといったときに便利です。

メッシュになっているので、周りの様子がよく見えます

土橋10

土橋11

タックシールや付箋紙を保管するのに、
今までは裏表紙の見返しポケットに入れていたものを、
今は、後半のメモページに台紙ごとマステで留めている。
ポケットから出す作業をなくせるので、使い勝手がよくなっている。
このニチバン/マイタックラベル“リムカ”の周りをフリーハンドで縁取りすることで、
貼っても目立つための工夫を。

土橋12

3M ポストイットの全面強粘着型。机の消しゴムかす掃除に重宝しています。

土橋33

切り取ったあとのテープの端を仮止めでき、
次に使うときに引き出しやすい、テープ・ディスペンサー。
粘着面が刃に当たらないので、刃に糊が残らないというメリットも。

土橋13

 

次は、筆記具のお話です。

ボールペンは一定の線が書け、情報をきれいに伝えるには優れているので、
伝票や領収書に使うくらい。

鉛筆はチカラ加減で、筆跡に豊かな表情を持たせられるところがお気に入り。

“黒鉛芯”鉛筆の四強、
右からトンボ(モノ100)、ステッドラー(マルス ルモグラフ)、三菱(ハイユニ)、
ファーバーカステル(カステル9000)
全部2Bなのに、書き味はまったく違う!
因みに、肥後守で削ることで、芯の太さを自在にアレンジできます。

土橋43

キャップや芯ホルダーもさまざまで、これもナカナカ奥が深そう。

土橋21

シャープ芯はなんと、試験管に!
既存の芯ケースは使いにくいし味気ないので。
これで芯の交換に加えて、振ったときの音も楽しめるそうです。

土橋26

万年筆は一般的に“ノスタルジー”や“形態”で語られることが多いのですが、
土橋さんは“極めて機能的である”という理由で愛用しているそうです。

土橋38

土橋37

土橋36

“原稿を書く”という動作は、頭の中に浮かんだモノを瞬時に紙に落とし込む必要性から、
そのスピード感が大切で、手にチカラを加えることなく、ペン先さえ紙に触れていれば
自身の重さでスムーズに書くことのできる万年筆が最適とのことでした。

土橋40

これは土橋さんオリジナルの“浅草「満寿屋」謹製特漉き原稿用紙”。
万年筆との相性にこだわった究極のマイ原稿用紙!
罫線の色やかすれ具合が何ともいえず味わい深い趣きです。

土橋39

筆記具は単体での存在意義はなく、紙との組み合わせで初めて成り立つモノなので、
自分が心地よく感じる筆記環境を整えることはとても重要です。

 

この「月光荘/ウス点スケッチブック2F」は、主に取材ノートに使用。
0.7ミリと0.9ミリのシャープペンシルを状況に応じて使い分けをしています。
これは、ナント101冊目!

土橋19

土橋20

終わったノートはリングを外して、スキャンしたJPEG画像を“iPod touch”に同期させて、
一冊ごとにサブフォルダの中へデータ保存したあと、
“手離して”いるそうです。(“捨てる”ではないこの表現にはグッときました)

土橋22

 

ここで、皆さんの過去の手帖をどうしているのか?という話題に、
ひとしきりやりとりが。
圧倒的に「保存する派」が多かった。
興味深いのはスキャンしても、原本は捨てずに保存しており、
処分する方は数名のみでした。

「土橋さんにとって手帖とは?」の問いに、

「手帖はいまから先を見通すための道具で、過去を振り返るモノではない」

という定義に、すべてが腑に落ちるお答えでした。

 

さて、いよいよ「ミニマリズム」のお話です。

「ミニマリズム」とは突き詰めると“最小限に絞る”ことなのですが、
「シンプル」とは意味合いが異なり、必要な物だけを残し、
他のモノはそぎ落とした結果がたまたま「シンプル」なので、
過程が重要になるということなのです。

これは仕事机の環境ですが、撮影するために片付けたのではなく、
いつもこの状態を保っています。
一つの仕事や作業を終えると関連するモノは全て片付けてから、
次の仕事や作業に取りかかるようにしています。
結果、このようなデスク環境をいつも維持することができています。

土橋28

例えば、机の上が書類の山となり、仕事に集中できないため
“会議室”に閉じこもると作業が捗るような状況は、誰でも経験するところですが、
これを自分の机の上に置き換えて考えることが重要です。

“余白”というより“なにもない空間”がポイントで“積極的に作り上げた空間”が
生み出す効果には大きなモノがあります。

この考え方を書類管理にも応用すると、
日々入ってくる書類の流れはあるけれど、出すための流れがうまくコントロール
できていないことにより、滞ってしまい結果机の上が書類の山になる。

書類に流れをつくる、つまり書類の“入りと出”をバランスさせることで、
“書類の出”はつまるところ、“捨てること”と“スキャンすること”に尽きます。

土橋27

具体的には、手許に来た書類はまず「アクティブ書類」、「スキャン書類」、「保存書類」、
「ゴミ箱直行」の四つに分けます。

「アクティブ書類」は、現在進行中のプロジェクトに関する書類。
「スキャン書類」は、データとして残す書類。
「保存書類」は、原本が必要な書類(契約書、証明書など)
「ゴミ箱直行」は、確認後判断してゴミ箱へ。

「とりあえず置いておく」は絶対厳禁!

「アクティブ書類」は、参照する書類は「ポスタルコのリーガルエンベローブ」へ。
検討の必要のある書類は、ノートへ貼る。
「スキャン書類」は、ハンギングフォルダの「スキャンフォルダ」に保管、
毎月1日にチェックしてスキャン。
「保存書類」は、ハンギングフォルダの「保存フォルダ」に保管。3ヶ月毎にメンテナンス。

これで机上には、“とりあえず”な書類は一切ありません。

スキャンで重要なのは、いろいろと便利な専用アプリがありますが、
30年後にも存在するか?とか、PC環境が変わったときに、果たして使えるのか?
と考えたときに、JPEGやPDFで保存しておくことの安心感に優るデータ形式はない
という結論になります。

この他にも、いろいろと話が弾んで和気あいあいと、
“充実”と“堪能”を味わいながら午前の部は終了しました。

最後に、
土橋さんの「手帖の会の人は、さすがに“手帖のエンゲル係数”が高い」
というひと言が、とても印象に残りました。

 

 

お昼を挟んで、いよいよ午後は「手帖オフ」が始まります。
土橋さんにも参加していただけるという素晴らしいサプライズも!

今回は、人数が多いので分科会形式で三班に分かれ、
“手帖”、“筆記具”、“手帖のお供”をお題に、
一時間ごとに顔ぶれをシャッフルしながら、
熱のこもった、でもいつもの“ガチ”な雰囲気はなく、
和気あいあいとしたのんびりムードでやり取りが進みます。

土橋50

土橋51

土橋52

土橋53

それぞれのテーマに密着はできませんでしたが、
呆れるほどの物量とこれでもかの技をご披露していただいた
ほんの一部をご紹介。

土橋54

土橋55

土橋56

土橋57

土橋58

土橋59

土橋60

土橋61

土橋62

土橋63

土橋64

土橋65

土橋66

土橋67

土橋68

土橋69

土橋70

土橋71

土橋72

土橋73

土橋74

土橋75

どの班も、笑いや驚きでワイワイがやがやと和んだ雰囲気が伝わってきます。

一時間ごとにシャッフルされて、あっという間の三時間。
終わってみると、皆さんずっと昔からの知り合いだったようなキモチに包まれて、
長丁場だったのにナゼか物足りなさを感じてしまう不思議な感覚を味わいながら、
タップリ吸収した手帖ネタはもちろん、“充実感”や“満足感”もおみやげに、
無事終わることができました。

土橋さん、参加された皆さん、お疲れ様でした。
そして、ありがとうございました。
また、次の機会にお目にかかりましょう。

 

最後に、懇親会のワンショットをオマケに。
もちろん、土橋さんにもご参加いただいき、
ここでもワイワイがやがやと
ゆっくり夜が更けていきました。

土橋76

?『日本手帖の会』としては久々の「手帖オフ」でしたが、
主宰する立場からも、参加する立場からも、
「文具コンサルタント・土橋 正」さんの“魅力”を堪能させていただきました。

長いご経験と試行錯誤によって、研ぎ澄まされた理論と実践の成果を
惜しみなくご披露していただき、
また疑問や質問にも丁寧にお答えいただき、感謝に堪えません。

あらためて、

本当にありがとうございました!

 

P.S.

土橋さんの「文具で楽しいひととき」/pen-infoで、ご紹介いただきました。

ありがとうございます。

?pen-info

紹介

 

投稿者プロフィール

レジェンド 石井
レジェンド 石井
システム手帳の自作リフィルも28年を越えました。
「No Refill, No Life」で快適リフィル生活をめざして、
Refill Maniaxサイトを運営しています。